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SMR(瓦書き)方式のHDDを実際に使用してみての感想と使いどころ

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SMR瓦書き方式を採用しているHDD(ハードディスク)を実際に数ヶ月利用してみた(現在も継続して利用中)ので、その感想と使いどころについてメモしておきたいと思います。

今回使用したSMR方式のHDDは次の2機種で、いずれもSEAGATEのBARACUDA PROシリーズです。

  • ST8000DM004
  • ST6000DM003

公式な情報はそれぞれ次の公式サイトのURLに掲示されています。

前提

この記事の内容は、巨大なデータをガンガン読み書きする、という前提での記事です。

ちなみにこの記事で想定している巨大なデータというのは5G超~1T超のデータです。

巨大なデータを扱わないのであれば、SMR方式のHDDであっても、この記事で振れているようなパフォーマンスの低下は起こらず、従来型のHDDと同じように利用できるのではないかと思いますが、現状SMR方式のHDDは巨大なデータ置き場としてしか利用してないため、巨大なデータを扱わなかった時の使用感はよく分かりません。

結論から言うと用途を限定できれば実用的

結論から言うと、現状、単なるデータ置き場、として利用する場合はほとんど問題なく利用できているが、単なるデータ置き場、として以外の利用は現状では全く現実的ではなさそう、というのが率直な感想です。

自分が使った印象として、SMR方式のHDDがアリかナシか?と言えば、アリで、但し用途を限定できないのならナシ、という印象です。

SMR方式のHDDをリピートするか?と聞かれたら、SMR方式のHDDの価格的な優位性が今後も続くのであれば、これからもデータ置き場としてはSMR方式のHDDを購入していくと思います。

但し、本当にデータ置き場として以外の利用は実用的ではないので、少しでもデータ置き場として以外の利用が想定される場合は、従来型の普通のHDDを購入すると思います。

そう思っている理由や、データ置き場以外に利用するとどうなるのか、について、以下に記します。

SMRって何ぞや?

SMR?何それ?

と思う人はそもそもこの記事の内容には興味がない気はしますが、簡単に説明しておくと、SMR方式とは、転送速度や書き込み速度等の様々な犠牲を払うことにより、従来のHDDと較べて圧倒的に大容量のデータの記録を可能にする技術のことです。

我々末端の消費者から見た場合のメリットは、超大容量のHDDを超激安で手に入れることができる、ということになります。

その反面、まだ新しい技術であることや、容量を増やすために特に速度面で多くの犠牲を払っていることから、何も考えずに普通のHDDと同じように利用すると不都合が生じる場合があり得えます。

技術的なことを少しだけ話すと、例えば駐車場の設計をする時に、出庫時のことを一切考慮せずに(通路を一切用意せずに)、到着した順にとにかく端から詰めていけばより多くの車を収容することができますよね、SMR方式がやっているのはそういうことです。

一般的に言われているのは、データの移動や書き換えの少ない用途であればSMR方式でも従来のHDDと遜色なく利用できるが、データの移動や書き換えの多い用途の場合には動作に難あり、と言われています。

が、その実際のところはどうなんだ?

というのを、人柱の一人として記事に残しておこうと思い立った次第です。

データを保存するだけなら超実用的

現在の用途では主に画像・動画データの保存に利用していますが、データを保存するだけであれば、従来のHDDとほとんど同じように利用することができています。

後で触れますが、データを保存するだけではない場合はちょっと微妙です。

SMR方式のHDDに保存した画像や動画を、DLNA等で再生する場合も、途中で動画が止まったり途切れたりすることなく、閲覧・視聴できます。速度も最初の読み込みが遅い、等ということもありません。

但し、次の1点については、通常のHDDと較べて明らかな相違点がありました。それはSMR方式のHDDにデータを移動する時、またSMR方式のHDDからデータを移動させる時の速度です。

SMR方式のHDDでは現状HDDに大容量キャッシュが搭載されており、このキャッシュを活用することで、従来型のHDDと同様の転送速度を実現することができる、ということになっています(実際できています)。

しかし、これはおそらくキャッシュが原因だろうという話で、詳しく検証した訳ではないので、実際はキャッシュが原因ではない可能性もありますが、キャッシュの容量を限界まで使い切ったと思われる辺りから、その後の転送速度が超激遅になります。

例えば、4Gのファイルを移動しようとした場合(SMRのHDDに移動する場合も、SMRのHDDから移動する場合も同じです)、キャッシュの容量を使い果たしたと思われる辺りから1M未満~100M未満くらいの転送速度しか出なくなってしまいます。

1M未満しか出ない時と、100M未満程度は出る時の違いは、HDDに複数のアクセスがあり、キャッシュを独占して利用できていない時との違いではないか?と思っていますが、実際のところはよく分かりません。

遅くなる原因は検証していないのでキャッシュが原因であるとは断言できませんが、巨大データを転送しようとすると遅くなることは事実です。

従って、(自分もそうでしたが)大きなデータの引っ越し先としてSMR方式のHDDを選択した場合、大きなデータを引越させる際に、今までのHDDと較べたらあり得ないくらいの時間がかかってしまいます、が、そこさえ乗り越えれば後は快適に使えます。

単なるデータ置き場、としてSMR方式のHDDを考えた場合、キャッシュ容量を超えると転送速度が極端に遅くなる、と思われる、という点を我慢できれば、快適に利用することができるでしょう。

データの書き込みや書き換えがある作業はリスキー

ここまで読んでいただけた方には、「ああ、やっぱデータの保存以外駄目なんだなw」という結論に至っているとは思いますが、データの書き込みや書き換えがある作業を行うとどうなるかについても記録を残しておきます。

結局これもキャッシュの問題なのですが、キャッシュの容量を使い切らないと思われる程度の利用である限りは、データの書き込みや書き換えがある作業を行っても、従来型のHDDと同様に快適に使うことができます。

しかし、巨大なデータを扱い、キャッシュを限界まで使ってしまっていると思われる使い方だと、色々と使い物になりません。

一番問題なのは、どんなに遅くても放って置けばいつか処理が終わる、のであればまだいいのですが、アプリケーションによってはあまりの遅さにタイムアウトして処理が終了してしまいます。

例えば動画編集を行おうとした場合、大きなファイルを読み込んで大きなファイルを吐き出すことになりますが、この過程でキャッシュを使い果たしてしまうと、タイムアウトしてファイルを読み込めなくなったり、書き出せなくなってしまう場合があります。

アプリケーションによって様々だと思うので、中にはHDDが超激遅でも正常に処理を完了してくれるアプリケーションもあると思いますが、いちいちそういう可能性を考慮して作業をするのはストレスです。

従って、OSの起動ディスクとしての利用は考えられません。

実際にOSの起動ディスクとして利用したことはありませんが、OSの動作によってキャッシュを使い果たすことはないとしても、他の作業でキャッシュを使い果たしてしまったら、OSも巻き添えを食うことは必至でしょう。

また、時間がかかってもアプリケーションが異常終了せずに、最後まで処理を継続してくれる場合であっても、キャッシュを使い果たしてしまったと思われる後は、処理時間があまりにも長すぎて、正常にデータが書き込まれているのかちょっと不安ですし、そもそも時間がかかり過ぎて現実的ではありません(敢えて超激遅の環境で作業をする意味がない)。

しかし、これは大きなファイルを扱う場合の話で、例えばキャッシュを限界まで使い切ることはないであろう、ワードやエクセルのファイルを編集したりする場合は、SMR方式のHDD上で編集作業を行っても、従来のHDDと同様のパフォーマンスを期待することができるのではないかと思います。

実際、SMR方式のHDD上でワードファイルやエクセルファイルを編集しまくったことはないので分かりませんが、テキストファイルやHTMLファイル、PDFファイルなどを閲覧・編集する分には全く問題なかったので、キャッシュを使い切りさえしなければ従来のHDDと同様のパフォーマンスが得られるのではないかと思います。

が、そもそもワードファイルやエクセルファイルなどの容量の小さなファイルしか利用しないのであれば、そもそもSMR方式を採用しているような超大容量のHDDは必要ない訳で、SMR方式のHDDを評価する上でのポイントは大きなファイルを適切に処理できるのか?というところだと思います。

ということで、データを保存するだけ、以外の用途に使おうとした場合はなかなかデリケートはHDDであると言えます。

SMR方式のHDDを活用する工夫

とは言っても超大容量HDDを超安価で利用できるという魅力には抗うことができなかったので、現状、頑張ってSMR方式のHDDを使っています。

実際に自分でやってみて、上手くいっている方法を紹介します。

作業は別のディスク上で行うべし

「データを保存しておくだけ」以外の用途に使うと超絶にパフォーマンスが落ちる。

訳なので、SMR方式のHDDはデータを保存しておくだけ、にして、作業を行うときは別のディスク上に移した上で作業を行う、という使い方で現状快適に利用できています。

少し面倒ではあるのですが、例えば動画の編集を行いたいと思った場合、他のHDDやSSDへ一旦データを移した上で、そのディスク上で編集を行います、そして編集後、できあがったファイルをSMR方式のHDDに書き戻す、または移動する、といった使い方です。

こうすれば、SMR方式のHDDはデータを保存しておくだけ、の状態にすることができ、SMR方式の恩恵を受けつつ、作業効率も落とさずに利用することができます。

従って、SMR方式のHDDを単なるデータ置き場としてだけ使うのではなく、SMR方式のHDD上にある大きなデータを編集する可能性、SMR方式のHDD上に大きなデータを書き出す可能性があるのであれば、SMR方式のHDDの他に作業用のディスクを別に用意した方が良いでしょう。

100%データ置き場専用としての利用に徹する

繰り返しになりますが、大事なことなので何度でも言います。

SMR方式のHDDはデータ置き場専用として以外の用途は現実的ではありません、これは主にデータ置き場として使う、という意味でも、基本的にデータ置き場として使う、という意味でも言っていません。

SMR方式のHDDは完全にデータ置き場専用として以外の利用は実用的ではありません。

普段しないけど、ちょっとだけSMR方式のHDD上で編集したり、SMR方式のHDD上のデータを入力元にしたり、処理結果をSMR方式のHDD上に書き出したりすることも避けた方が良いでしょう。

また、SMR方式のHDD上にデータを移動している最中や、SMR方式のHDD上からデータを移動している最中に、ブラウザでWEBを閲覧したり、BGMを再生したり、といった些細な作業も行わない方が良いでしょう。

SMR方式のHDDは、本当にデータ置き場専用としてのみ利用することで、アリなHDDになると思います。

まとめ

  • SMR方式のHDDは、用途を完全にデータ置き場専用に限定できれば充分に実用的
  • SMR方式のHDDにあるデータを入力元とする作業や、SMR方式のHDDを出力先とする作業も避けた方がベター。
  • 上記のような作業をしたい場合は、一度他のディスク上でデータを作成した上で、それをSMR方式HDDに転送することで、さほどパフォーマンスを気にせず使うことができる。

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